孤独育児と仕事の両立

 

 

医師生活4年が過ぎて母となりました。母になれた喜びは人生でこれまで感じた事のない大きな喜びでした。

 

一方で、母親業だけの日々は私を苦しめました。それまでの仕事中心の生活から、急に家庭に入った変化も大きかったのですが、

何より辛かったのは孤独でした。夫の勤務の都合で、知り合いが全くいない土地での育児生活でした。当時の夫は早朝出勤の深夜帰りで、ほとんど不在でした。

 

子ども中心の生活にしよう、子どもファーストでがんばろうと思えば思うほどに、ちゃんとやれないことにイライラが募り、子どもを感情的に叱ってしまう自分、そして自己嫌悪の日々。

1人の時間が欲しくて、子どもを寝かせることばかりに気を取られていた時期もありました。

幼いわが子のトイレトレーニングにキーキー𠮟りつけていた苦い思い出もあります。

 

夫に子どもを任せるのは美容院に行く時くらいでした。

休日は家族みんなで過ごしたいという夫のニーズを感じ取り、「1人の時間が欲しい」とは言えませんでした。

たぶん夫にリクエストすれば叶えてくれたに違いないのですが、私がそうしてはいけないと思い込んでいたのです。

 

祖母のように人に尽くしきれない自分は未熟だ。我慢が足りないのだ。そう自分を責めていました。

 

そんな日々が辛くて早く仕事復帰したい気持ちと、初めて勤務する大学病院の仕事を両立していけるのか不安な気持ちに葛藤をしながら、1年間の専業主婦生活を終えて仕事復帰をしました。

職場では、他の医者と同じように働けないことに申し訳なさいっぱいでした。せめて他の医師がやりたがらない早朝の病棟での採血業務だけは私がやろうと、幼い長男を院内保育園に毎朝一番のりの7時15分に登園させていました。

 

今思うと、その努力で自分の価値をどうにか保とうとしていたのかもしれません。

 

学会で華々しく活躍する同期たちの姿と比べて劣等感もありましたが、勉強する時間と心の余裕はありませんでした。

 

母としても医師としても中途半端な自分。

自分に足りないものばかりが目につき、努力ではどうすることもできませんでした。

 

そして、当時はその苦しみを共有できる友人が一人もいませんでした 

 

 

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